【効果実証済】赤ちゃん寝かしつけ お風呂を魔法の「睡眠誘導装置」にする方法

赤ちゃんの寝かしつけに時間がかかるのは新米お母さんの1つ。
寝かしつけだけで1時間も2時間もかかると、どんどんしんどくなってきますよね。

赤ちゃんの体のメカニズムを生活リズムとリンクさせた習慣がついていくと、育児がとても楽になります。

赤ちゃんの体に負担をかけない生活は、赤ちゃんのご機嫌と健康をはぐくむために、とても大事になってきます。

ご機嫌づくりで最も大事なのは「睡眠」。そして睡眠の質を高める、重要な装置、それは「お風呂」なんです。

それではどんなふうにお風呂に入れば赤ちゃんがぐっすり眠れるのでしょうか?
4人の母で合計10,000回以上寝かしつけをしてきた科学ジャーナリストが科学的根拠に基づき、実践的な「赤ちゃんの寝つきをよくする入浴法」をご紹介します。

赤ちゃんの体のメカニズムを通して、寝かしつけの基本を実践してみてくださいね。

<目次>

1  眠りとお風呂の関係1 眠りとお風呂の関係
・眠りと相関関係がある体内温度
・お風呂は体内の温度を一旦上げてくれる寝かしつけ装置
・胎児期から母体の入浴習慣が生後のリズムにも影響

2 お風呂にはいつ入ればいい?
・お風呂は眠る前の2ー1時間以内に
・「お風呂=そろそろ眠る」の意識付けもできる時間とは?
・2-1時間前に入るときは「靴下」や「レッグウォーマー」を履かせるとよい

3 どんなふうにお風呂に入ればいい?
・長風呂は不必要
・スキンシップは、ベッドの上で
・我が家の4人の10,000回の寝かしつけ体験談

4 寝かしつけをするときの注意
・低体温になると、寝かしつけが長引く
・低体温は、マッサージで挽回

まとめ

1 眠りとお風呂の関係

・眠りと相関関係がある「体温」

sleepy baby

あくびをする赤ちゃん

人の眠りのリズムは、体の中心部分の温度「深部体温」と深い関わりがあります。

人が眠くなるのは、この深部体温が低くなっている時間帯です。この低い時期には、代謝が下がって体全体、脳も含めて休息の状態になります。

最近の研究では、皮膚の表面の温度が高くなり、体温が放出される過程で眠気が増していくことが分かっています。体温が放出されると、深部体温が下がってくるのです。

「赤ちゃんの手足がポカポカしている時は、『眠いサイン』」とよく育児の現場では言われてきました。この「言い伝え」が科学的に証明されたというわけです。

ぐっすり眠る新生児と、そうでない新生児の違いは、やはり眠る際の皮膚の表面温度。よく眠る子は、入眠時に足の裏の温度が上昇しているいっぽう、眠らない子は下降しているという研究結果もあります。
つまり、やはり皮膚の表面の温度が上がり、体温が放出されているタイミングで寝かしつけることが、赤ちゃんの生理にかなった寝かしつけということになりますね(※1)。

・お風呂は体内の温度を一旦上げてくれる寝かしつけ装置

お風呂に入ると、お湯の中で体温は一時的に上昇しますよね。この時、高くなった体温を平常値に戻すため、体は手足などの毛細血管を開いて、体温を放出しようとします。

お風呂が「体温が下がっていく状態」を人工的に作り出し、眠気を誘うのです。

大人でも、睡眠前に入浴を図ること、「寝付きが良くなった」と言う研究がたくさん出ていますね。
みなさんも、実際、お風呂でリラックスした後の眠りと、シャワーだけで過ごした後の眠り、なんとなく違いを感じているのではないでしょうか。

・胎児期から母体の入浴習慣が生後のリズムにも影響

母体が妊娠後期に、入浴習慣をつけていると、生後すぐの赤ちゃんの睡眠リズムも比較的安定していると言う研究もあります。

相関関係のメカニズムについては明らかになっていません。ただ、入浴習慣が母体の生活リズムを整え、それが赤ちゃんにも影響している。入浴そのものが、産後を見通しての親子の生活リズムを整える装置として非常に重要だということがわかりますね。

2 お風呂にはいつ入ればいい?

お風呂は眠る前の2ー1時間以内に

1階体内の温度を上昇させることが必要になります。そしてその上昇から低下への移行時に眠くなるのです。つまりこの低下中の間に寝室に入り横になって真っ暗の中で過ごすと言うことが大事になってきます。
大人では入眠の2-1時間の入浴でも十分です。
ただし、赤ちゃんにとっては体が小さい分、深部温度も下がりやすくなります。せめて眠る1時間以内には入浴することをお勧めします。

「お風呂=そろそろ眠る」の意識付けもできる時間とは?

入浴から体内の温度が低下するまでの間は数十分ほどかかると思われます。

赤ちゃんの手を手や足を確認しながら、まだ手足が暖かいうちにベッドに入るようにしましょう。
赤ちゃんの手足が冷たくなってから寝かしつけに入るとすでに冷え切ってしまった状態では眠れなくなります。
これは低体温の状態。低体温では、人は眠りにつきにくくなるんです。せっかくの「入眠誘導装置」の役割がこれでは水の泡になります。ですから、手足が冷えないうちにベッドへ行きましょう。

2-1時間前に入るときは「靴下」や「レッグウォーマー」を履かせるとよい

ベッドへ行くまでに時間がかかるスケジュールで生活している方は、入浴後、ぜひレッグウォーマーなどで、赤ちゃんの足からの熱放出がゆっくりになるように配慮してあげてください。

手足が冷え切るのを防止できるため、寝かしつけの時間短縮につながります。

3 どんなふうにお風呂に入ればいい?

長風呂は不必要

赤ちゃんは入浴で1時間も入れると言う方もいらっしゃいますが、そこまで必要はありません。

1-2歳でも、ぬるま湯で15分で充分です。新生児だとほんの3分ほどでよいと言われています。

1時間もお風呂に入る前に、その時間をたっぷりベッドでの「イチャイチャタイム」に使ってあげましょう。

スキンシップをするのに大事だと言う方はぜひ夜お布団の上でスキンシップをしてあげましょう。

baby massage

赤ちゃんの手や足の裏、ふくらはぎなどをやさしくマッサージしましょう。

お風呂上がりは、体を拭いて、そのままベッドに直行することをお勧めします。

新生児のころは、入浴後すぐにベッドへ。ベッドで体を拭いたり、着替えさせたりしていました。
ベッドの上だと着替えるときに寝返りを打っても安心ですからね。
風呂上がりの水分補給も、ベッドの上で(授乳やお茶)やっていました。

少し大きくなると、ベッドの上で絵本を読んだり歯磨きをしたり。
「安全で安心な場所」で、ほっとした空気の中、精神的にも安定することで、子どもたちは眠りにつきやすくなるでしょう。

我が家の4人の10,000回の寝かしつけ体験談

我が家は、4人目を迎えた後も、4人兄弟が7時半~8時半就寝でした。
全員が、赤ちゃん時代から「お風呂=眠りの直前の儀式」という生活スタイルを守ってきたため、お風呂に入った後はリラックスして消灯と言うことにさほどの疑問もなく過ごしています。

4人ともお風呂に入って少しくつろぎ10分ほどで、30分以内にはみんなが入眠。
あくびをして朝までぐっすりです。
眠りが浅くて困ったと言う経験もありません。

寝かしつけには最長で1時間赤ちゃん時代にかかったことがありますが、普段は完全消灯後10分ほどで全員が寝てしまいます。

4 寝かしつけをするときの注意

低体温になると寝かしつけが長引く

寝かしつけをするときのときに気をつけたいのが、子供を興奮させすぎたり、体が冷える場所で長時間遊んだりして寝かしつけを長引かせる事です。

入浴⇒就寝の間の時間が長引くことは「育児あるある」ですが、赤ちゃんの体温が下がりきってしまうと、低体温状態になりかえって寝られなくなります。寝かしつけが1時間以上にもなり、夜も頻繁に起きる可能性まで高くなってしまいます。

低体温になったら、マッサージで挽回

色々なことで手間取ったり、お子さんがもともと冷え性だったりで手足が冷えてしまった場合は、また挽回の方法があります。
それは、手や足裏、ふくらはぎなどの体表面のマッサージ。手足をもみほぐすことで、マッサージした部分の毛細血管が開きます。開いた後で体温が高まり、熱放出されるのです。

体がポカポカしている、手足がまだポカポカしている、この状態でお布団に入り電気を消せるような形が理想ですね。

まとめ

お風呂は、体の温度をいったん上げて、それが自然と下がる過程で眠気が誘われる「魔法の入眠装置」だということがわかりになったでしょうか。

妊娠中の方は妊娠中からしっかりお風呂に入って眠りを深める生活習慣を整えておいてください。
新生児や乳児さんを育てている方は、眠る前の2~1時間以内にお風呂に入りましょう。

体のメカニズムをうまく利用して、ぜひ快適な寝かしつけライフを送り、赤ちゃんの育児を楽しんでください。

赤ちゃんの自分で眠る力で「朝まで睡眠7ステップ」<寝かしつけ特集②>

つらい寝かしつけは卒業!赤ちゃん寝かしつけテク7選<特集③>

<参考論文>※1日本 看 護 科 学 会 誌J. Jpn. Acad. Nurs. Sci., Vol. 18, No. 3, pp.67~75, 1998 生後6週 間の正常児の睡眠 ・覚醒 と足底皮膚温 江 藤 宏 美*
Sleep-Wake Patterns and Skin Temperature  among Healthy Newborns Hiromi Eto St. Luke’s College of Nursing, Ph.D. program in Nursing
※2 ヒトの体温調節と睡眠 内山真氏ほか 日本大学医学部精神医学系

遠位-近位部温度勾配の緩慢上昇誘発による、乳児の睡眠-覚醒リズム発達の促進阿部 範子 日本赤十字秋田看護大学, 看護学部看護学科, 准教授

執筆者なかむらあけみ(科学ジャーナリスト 4児の母)
元全国紙科学部記者。1人目を出産した際、[何が正しい育児情か?]が科学部記者でも分からず混乱した経験から、育児情報のメディアリテラシーに関心を持つ。各種論文や学会などを漁り、幸せで健康な育児にとって欠かすことのできない3要素を発見。「①さわる・みつめる②ねる・たべる③お産をふりかえる」だと理解し、自分と同じように苦しむお母さんが一人でも減るよう、「育児の土台」となるシンプルな育児情報を広める活動を行っている。

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