授乳中のテレビ視聴に注意!あなたのハートを守るため

授乳って、人によっては、けっこう苦行ですよね。
乳首は痛いわ、
身動きは取れないわ、
だから、

「赤ちゃんが唯一、落ち着いていてくれる時間。
この間だけでも、息抜きがしたい。

 録画してたテレビドラマ見たい。
 スマホ見たい。」

実際、ワンオペで赤ちゃんを育てている方には、ほとんど唯一の一人時間と言えるかもしれません。筆者も、そうでした。。。。

授乳とテレビの影響、赤ちゃんの心とあなたの心に対する影響を、ほんの少し科学的に、あたたかいまなざしで書きました。ほっとしながら、読んでいただけると幸いです。

執筆者:なかむらあけみ(科学ジャーナリスト 4児の母)
1人目出産の際、科学情報のプロでも正しい育児情報が判別できず、混乱した経験から、科学的で「育児の土台」となるシンプルな育児情報を広める活動を行う。各国の科学論文等から”幸せな育児にとって欠かすことのできない3要素”をまとめる。医療関係者等も聴講する講演の参加満足度は過去4年間、98%。

授乳中のテレビ視聴に注意

<目次>
・授乳中は母が「息抜き」できる貴重な貴重な時間
・授乳中に母がテレビ・スマホを見る時に、赤ちゃんへの影響
・授乳中に母がテレビ・スマホを見る時に、母への影響
・まとめ

授乳中は母が「息抜き」できる貴重な貴重な時間

現代の子育ては本当に大変です。
人のつながりの中で、人類は赤ちゃんを育て、家族だけでなく、母親同士や祖母、ほかの大人、みんなで互いに赤ちゃんを抱っこし、預けあったりしていたのです。
(つい50~60年前までは「もらい乳」という文化すらありました。母乳がよく出るお母さんが、よその赤ちゃんにお乳を上げるのです)。

だから、大変だったけれど、助けてくれる手はすぐに見つかりました。

でも、私たちの時代は、その手を得るには「行政サービス」や「民間企業」などを頼る必要があります。家族にお願いするのも、しんどいことも多いですよね。

その時点で、現代に育児するお母さんは、
本当に、ただでさえがんばっている状態にあるのです。

特に産後1~2か月って、はっきり言って孤独です。
外出もままならず、平日昼間は家で赤ちゃんと二人きり…。

助産師さんは「赤ちゃんとの関係を築くために目を合わせて授乳してください」なんて言うけれど…。
孤独に子育てをする私たちには、その言葉はあまり響かないのです。

だって、大変すぎるから!!
余裕があったら、目を合わせるよ。
余裕があったら、にっこりしたいよ。
余裕があったら、ずっと抱っこしていたいよ。
余裕があったら、ずっとほおずりしていたいよ。。。。

だけど…それができないの!
それくらい、しんどいの!

それは、母親としての愛情がないからではありません。
子育てする環境が、過酷すぎるからです。
もちろん、便利な家電がたくさんあって、家事は楽になったでしょう。
でも。
産後、人とのつながりがないままというのは、お母さんには、本当に苦しい。

だから、授乳中は、
赤ちゃんが確実に、静かにしてくれてる貴重な「精神の休憩時間」なんですよね。

でも、本当は、ゆっくり一人になりたい…。
ちょっとだけでも、身軽になりたい…。
それが叶わないから、せめて、赤ちゃんが落ち着ている時間くらい、社会とかかわりたい。
それが、テレビで、スマホ。

おまけに、
赤ちゃんのことをネットで調べるのも、授乳中が一番、ゆっくり調べられるんだもの!
赤ちゃんも、おっぱいを一生懸命飲んでいるんだからいいでしょう!

…それは、かつての私!でもありました。
でも、やっぱり、それでも。
助産師さんたちの「目を合わせて授乳してください」という「あるべき理想の母親像」は自分をチクチクと無意識で攻め立てるのです。

授乳しながらテレビ、スマホはサイレントベビーになる!?

google検索すると「授乳しながらのスマホは、赤ちゃんがサイレントベビーになる」という情報がたくさんです。

「授乳しながらのスマホ、絶対にダメなのか?」

「絶対に」なんてことはないでしょう。

ただ、経験上、
「100%、一切、授乳中に赤ちゃんと目を合わせない」なら絶対にやめた方がいいと思います。

けれど1日数分の「ほんのちょっとの息抜き」程度なら問題はないのではないでしょうか?

赤ちゃんだって生後すぐでも「何も分からない状態」「コミュニケーションできない状態」ではありません。

肌と肌の触れ合い、周囲の人の声、自分になげかけられる視線。

感じています。

特に視線は生後1か月くらいにピントが合ってくるといわれていますが、生後すぐからでも近くのものは見えるようです。

「授乳中、赤ちゃんと100%目を合わせないが続く」状態って?

あなたが夫と2人で食事しているのに、夫が全く視線を合わせず、スマホばかり見ている状態だと考えてて見てください。

これがさすがに毎回続くと、寂しいですよね。

赤ちゃんは、生まれてすぐから、周囲の人からコミュニケーション方法を学んでいきます。
極端なスマホ授乳は、授乳中以外も目線を合わせていないでしょう。
サイレントベイビーはネグレクトの状態の子がなる症状。

ちょっとのスマホ授乳が即座に赤ちゃんを「サイレントベビー」にすることはないでしょう。
あなた自身も、スマホがないと寂しいんですものね。

私自身、4人を母乳で育てましたが「目を合わせた方がいい」と分かっていてもやはり寂しくてテレビをつけたりしていました。

では、どの程度、影響があるのか研究を見てみましょう。

テレビつけっぱなしは、赤ちゃん見ていなくても発達に影響???

今回紹介するのは、授乳中や日常の生活でテレビや携帯の視聴時間と、赤ちゃんとの発達の相関関係を調べた研究(国立成育医療研究センター等 )です。首都圏の1000人以上の母親と赤ちゃんを対象にして、生後18か月まで追っています。

結果、テレビを4時間以上、つけっぱなしで日中過ごし、授乳中もテレビをつけている…というご家庭では、赤ちゃんの言葉の発達が遅い傾向にあるということが分かりました。

とはいえ…
3~4か月の赤ちゃん育児中に
「授乳中にテレビを見ることがある」というお母さんは、7.5割以上。

え、みんな見てるんじゃない?

3~4か月の赤ちゃん育児中に
「授乳中に携帯を見ることがある」というお母さんは、5割以上。

これは5年前の調査ですから、もう少し携帯・スマホを利用しているお母さんは増えているかも?と思います。今はテレビよりもYouTube見る方も増えていますから。

つまり、世界中、ほとんどのお子さんが、
年々、少しずつ目に見えない形で発達がのんびりになっていると言うことが考えられるでしょう。

逆に言えば、テレビを全然つけていない、スマホを見ておらず、視線を親子で合わせながら授乳している赤ちゃんは、順調に発達しているようです。ただ、そういうお子さんは、少数派になっているようですね…。

実は、わたし、3歳以降の幼児さんのお母さんから「うちの子、発達がのんびりで…」と相談を受けることがよくあります。
その時、「試しに、子どもとテレビをつける時間を少なくしてみては」と言っています。

そんな時に、テレビ漬けから、たとえ期間限定であっても、テレビなしの暮らしになった子が、劇的に変化していった様子を何人も知っています。

逆に言えば、かつての人間は、テレビやスマホなしで暮らし、順調に発達していた。その発達をテレビ、スマホが、日本中、世界中、標準的に妨げているということになります。

なんて書くと…びっくりしますよね。
でもね、

「よくない」と分かっていたとしても、
あなたが授乳中にテレビを見たり、授乳中にスマホを見たりするのは、なぜでしょう?

それは…一人で育児することは、ほんとうにつらいことだからです。

実は、授乳中の赤ちゃんは、「世界を知る」「愛する」に対して能力全開な時間


実は授乳中は親子ともに、愛情ホルモン「オキシトシン」が非常にたくさん出ています。

オキシトシンは「触れ合う相手を、大好きだ!愛おしい!」と感じさせてくれるホルモン。

見ているもの、触っているものを、大事に感じるホルモンです。

これが大量に出ている状態のあなたが、赤ちゃんを見ずにスマホを見続けているとしたら…?

あなたにとっては、
赤ちゃんへの愛情が自動的に深まっていく時間」なのに、それが深まらない。

赤ちゃんも、「お母さんへの信頼を深めていく時間」なのに、深まらない。

とってももったいないですよね。

では、以降は、そんな「テレビ見ながら授乳」していた私の恐るべき!体験をご紹介しましょう☟

授乳しながらテレビで同じ人を見続けていたら…

なかむらも、4度目の産後すぐの時期も、やっぱりどうしようもなく寂しくなって昼間、テレビをつけて消音にしていました。

平日の昼間…といえば、ワイドショー。
当時、ワイドショーが取り上げていたのは

「ならず者国家」として知られる北アジア某国の事件ばかりでした。
そしてその国の画像で必ず出てくるのは…3代目の某国家主席。

授乳しながら、その映像をチラチラ見てしまうわけです。
それが2週間ほど続いた頃でしょうか。
次第になんだか親近感がわいてきたんですね。。。。
その悪玉、世界平和の敵である某国家主席に!

もしかして!!

これって「分泌中に見ている人を好きになってしまう」愛情ホルモン「オキシトシン」の惚れ効果かも!

政治的にも全く相いれない、
好きでもない人に好意を持ってしまう可能性があるだなんて…。

イヤーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!

それ以来、授乳中にテレビを見るのは控えました。。。。

では、授乳中の「オキシトシン」はどんな物質なのか?見ていきましょう。

授乳中に大量分泌される「オキシトシン」は惚れ薬?

オキシトシンは、母乳を出す「射乳反射」の役割も担っています。

赤ちゃんの吸う刺激が起点となって、愛情ホルモン「オキシトシン」が急激かつ大量に分泌されます。

授乳開始1分でオキシトシンの血液中の濃度は、急上昇するんです。

そう。

オキシトシンは相手を信頼したり、愛したりする作用を持つホルモン。

実は、人工的に精製されたオキシトシンは「惚れ薬」としても販売されているくらいです。

オキシトシンを嗅がせて血中濃度が高まっている人は、目の前にいる人をその相手を信用したり、好意を持ちやすくなったりします。

つまり、実験で人工的に嗅がされるという状況でなくても

自然に分泌量が多い状態であるならば、オキシトシンの分泌量が多い時に目にしている人を好きになる…可能性が高い。

では、それが大量分泌されているということは…?
テレビをさらに愛してしまうことになります(笑)

まとめ

赤ちゃんの授乳中に、テレビを見ている人は全体の75%以上。携帯・スマホを見ている人は全体の5割以上。
多くの人が、授乳中に、テレビ、スマホを見ています。

ただ、長時間や毎回に及ぶと、それはゆるやかに赤ちゃんの発達を妨げます。
日中、家の中でテレビをつけっぱなしにしていることも、実はゆるやかに発達を妨げるようです。

でも。しんどい。私の精神的な安定のために、なにか対策が必要。
その場合は…積極的にお勧めはしませんが、コードレスイヤホンで好きな音楽を、低い音量で聴くのもいいかもしれません。あなたは気分転換になるし、赤ちゃんはあなたの視線を得られながら授乳できますからね。

そして、頭から「何が何でも、赤ちゃんの発達のためにこうすべき!」と自分を痛めつけて完璧な育児をする必要は全くありませんからね。絶対に、絶対に自分を責めないで。
しんどい、それは、あなたが意識していないところで、すでに悲鳴を上げているんです。

必ず、誰かに相談しましょう。
夫がダメなら、保健所の保健師さんたちに連絡しましょう。
子育て支援センターに今すぐ電話しましょう。
あなたの近くの認可保育園も、育児相談を受け付けていますよ。

そして、シルバー人材センターやファミリーサポートなども利用しましょう。
一人では、絶対に子育てはできないのです。
どんな素晴らしいお母さんも、一人では、絶対に子育てできません。
逆に言えば、「優れた母」ほど、人を頼って人に囲まれて、子育てします。
だから、あなたが優れた母になりたいのであれば、「助けて!」ということがその一歩。
「助けて!」ということが、完璧な育児の出発点なのです。

でも、今すぐラクになるために…
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