「赤ちゃんが可愛くない」「子どもが可愛くない」から愛が深まるために

newborn baby and mother

「待望の赤ちゃん。産まれてきたのに、可愛いと思えない。
   ずっとわたし、緊張しっぱなしだよ。
   ほんとうにつらい。

   ”私一人になりたい”って思っちゃダメなの?
   1時間でもいいから、1人で過ごしたい。
   もう何か月も、5時間連続睡眠なんてしてない。

   ほんとうに、ギリギリ。
   助けてって言いたいけど、
   誰も助けてはくれないと思う。

   助産師さんに相談したら、赤ちゃんに微笑めって?
   そもそも、笑い方なんて忘れたよ…
   助けて…」

こんな声、あなた一人の声ではありません。
実は公園にいるキラキラしているママも、
さっそうと道を歩くワーキングマザーも、多くの人が抱えている心の声です。

4児の母ですが、一人目の出産のとき、私も同じ悩みを抱えていました。
夫にも実母にも、誰にも相談できずに、悩んでいました。
でも、
その状態からたった1日5分の努力で「よその子まで可愛い!」に変化した今。
「赤ちゃんが可愛くないと思うのは、お母さんのせいではない」と言いきれます。

この1ページを読んだ後、
あなたが自分を責める状態から解放されていることを願いながら、執筆しています。

執筆者:なかむらあけみ(科学ジャーナリスト 4児の母)
1人目出産の際、科学情報のプロでも正しい育児情報が判別できず、混乱した経験から、科学的で「育児の土台」となるシンプルな育児情報を広める活動を行う。各国の科学論文等から”幸せな育児にとって欠かすことのできない3要素”をまとめる。医療関係者等も聴講する講演の参加満足度は過去4年間、98%。

「赤ちゃんが可愛くない」「子どもが可愛くない」から愛が深まるために

<目次>
1)産後うつも、うつと診断されなくても、大変な育児のつらさ
2)「赤ちゃんが可愛くない」生活のつらさ、かなしさ
3)赤ちゃんのことを「可愛い」と感じるための体内のメカニズム
4)赤ちゃんを「可愛い」と感じるために必要な3つのこと
5)必要な3つのことを得るためのステップ
6)まだプロセスなだけ。「可愛い」と思える日は必ず来る
7)まとめ

1)産後うつも、うつと診断されなくても、大変な育児のつらさ

mother holding her baby

「産後うつ」という言葉が一般的になりました。産後うつと病院で診断される人は、新たに出産した人の実に3割だと言われています。

ですが、病院を受診しないでも、一人で重い気持ちを抱えている人も多い。そう考えると、「赤ちゃんが可愛いと思えない」と苦しんでいる人は本当に多いはずです。

だから、あなたのその苦しみ・つらさは、あなただけのものではありません。そして、あなたの資質のせいでもありません。あなたが母親として能力が低いというものでも、ありません。

わたしも、そうでした。

実は「“赤ちゃんが可愛くない”だなんて、そんな人もいるんですね。実名でよく公表できますね」なんて、素で、言われたこともあります。その方は、たいへんいい人のように思えたので、かなり驚きました。

でも。

私は知っています。
多くのお母さんたちが、「赤ちゃんが可愛くない」と悩む心の裏側には、「赤ちゃんを可愛いと思いたい」と切望する、だれよりも、強い強い思いがあることを。

だからこそ、私は自分の実名で、「赤ちゃんが可愛くなかった」という事実を公表することを恐れません。
今、その状態を克服し、「他人の赤ちゃんまで可愛くてたまらない」というくらいにまで変わったからです。

そしてその「赤ちゃんが可愛くない」と思うのは、お母さんのせいではなく、お母さんの愛情がないせいでもなく、単に体内の科学的なメカニズムのせい、そして、その人が生まれ育ってきた環境が生み出した「考え方」によるためだということを、私は理解しているからです。

2)「赤ちゃんが可愛くない」生活のつらさ

1人目の子を産んだ時、切迫早産気味でしたが基本的には安産の自然分娩でした。

ただ、初めてわが子をこの手に抱いた時、責任の重さに震えました。

「可愛い」と思う前に、うっかり触ったら折れてしまいそうな細い指をみて「私は骨折させてしまわないだろうか?」と緊張したのです。

その緊張はずっと続きました。

新生児を抱っこするのは、ほとんど初めてでした。

私には6つ年下の妹がいますが、新生児を抱っこしたのは、6歳の時に産まれた妹を抱っこして以来…25年ぶりでした。当時の間隔なんて覚えているはずもありません。

子どもの時からずっと優等生で「努力で叶わないことはない」と思ってきました。

でも、育児はどんなに努力しても、努力が足りない。
赤ちゃんは泣き続ける。
「完璧に子育てしなくては」と自分に重荷を課している自分がいました。

「完璧な子育て」が何を意味するのかはよく分かっていませんでした。
が、とにかく正しくミルクをやり、
正しい時間間隔で寝かせ、
正しく授乳して、
正しくおむつ替えし、
正しく笑顔を向けなければならない…。

少しでも違うと、自分を許せない。
そして、これまでの人生、
自分に厳しく律することで完璧に仕事も勉強もこなしてきたのに、育児だけは、なぜか、それがうまく働かない…。
だから、よけい、自分で自分を苦しめ、逆に心も体も動けなくなっていきました。
そんな恐怖と緊張、そして睡眠不足、大量の悪露…。
顔は次第にこわばりますね。
「眠い」「お腹がすいた」「怖い」の感情がぐるぐる頭を渦巻きます。

夫が仕事に行き、赤ちゃんと自分の2人きりになると、家の中はまるで荒野。
奈落の底の上に張られた細い細い綱の上を赤ちゃんを抱っこしながら歩いている、そんな緊張の中で生活していました。

でも、1mたりとも、赤ちゃんから離れてはならない。
そんなことをしたら、地震になったとき、救えるの?
もうありとあらゆる赤ちゃんをめぐる危険に、自分ひとりで対処しなければ…なんて思考になっていました。
かなり、やばい状態ですね。。。。。

たとえば長男が3か月になるまで、彼と私が5メートル以上離れた時間は、ほんとうに何十時間と、カウントできるくらいだったと思います。

「赤ちゃんは、母親が見て当たり前。父親はサポートしかしない」

その価値観がどうしても頭を支配します。
男女共同参画、イクメンといった話が一般的になっても、私たちの頭を無意識のうちにこのような価値観が支配しているのは、建前とは逆に「母親が見る前提」で無言のまま社会が動いているからです。

当時、「一人時間」はうつ病レベルで精神が病んだ時に初めてとれる、と考えていました。
一人時間が自らの意思によって罪悪感なく、責任として、定期的にとり、週末に珈琲を飲みに夜のカフェにでかけるようになったのは、2人目を出産したのちのことです。

これは、私の「精神的におかしな母親」の特殊な物語ではありません。このように感じ、緊張の中にいるお母さんは、多いのです。
でも、なかなか世間はこのような感情を理解してくれません。

あなたは、育児中の一人時間を、罪悪感なくとれたのは、いつでしたか?

3)赤ちゃんのことを「可愛い」と感じるための体内のメカニズム

分娩台で誕生した赤ちゃんと母親

実は、「赤ちゃんが可愛くない」と感じるのは、人間だけではありません。

動物もそうなのです。哺乳類は本能で母乳を赤ちゃんにあげますが、、もちろん、母乳を上げて育てる哺乳類の中にも、育児放棄する個体もいます。
それは何が違うのでしょう?

「赤ちゃんと母親」とのふれあいや、妊娠・出産時の極度のストレスなどが原因なのです。

妊娠中に極度のストレスがあった、
出産時に極度のストレスがあった(特に出産時のストレスは、通常の人が感じるよりも、はるかに敏感に妊産婦は感じるのです)、
そんな経験はあなたにはないですか?

お産への心残り、お産のことを思い出すと哀しくなる、つらくなる…そんなことはありませんか?

母親の子どもへの愛はとても深いものです。
今、あなたの中に「子どもが可愛くない」という感情があったとしても、その奥には、あなたの未知の愛が眠っています。単に表出されていないだけです。

なんらかの蓋が、あなたの愛を押し込めている可能性があります。

それは、きっとストレスや緊張が原因。
そして、赤ちゃんとあなたとの間にある、愛を育めない空間のせいかもしれません。

3)赤ちゃんのことを「可愛い」と感じるための体内のメカニズム

親子の愛や信頼関係が生まれるのは、皮膚や視線などの「接触」が重要な位置づけを持ちます。
愛は、どんな親の心の中にも、もともとあるのです。
だから、「赤ちゃんが可愛いと思えない」「子どもが可愛いと思えない」という時、「愛情が薄い」と自分自身の心のあり方を心配する必要はありません。

もともとある愛のメカニズムを発動させられていないだけなんです。
その愛のメカニズムを、日常的に発動させるためには、十分な心身の手順を踏む必要があるのです。

その主なメカニズムは、愛情ホルモンとよばれる化学物質「オキシトシン」の分泌が大事なのです。

しかし、現代の一般的な生活習慣・生活環境は、このオキシトシンの分泌を妨げやすいのです。ですから、母たちは「赤ちゃんが可愛くない」となってしまう。「赤ちゃんが可愛くないのは自分が母親失格だから」だなんて思ってしまう。

いいえ、あなたのせいではないのです。
単に、現代社会が愛情ホルモン「オキシトシン」を分泌しにくい社会だからなのです。

新生児 可愛くないと思っても母親合格。科学的なメカニズムとは

4)赤ちゃんを「可愛い」と感じるために必要な3つのこと

それが、3つあります。

①さわる・みつめる

②ねる・たべる

③お産を振り返る

「さわる・みつめる」=愛情ホルモン「オキシトシン」を分泌させるために赤ちゃんのことを「さわる・みつめる」

「ねる・たべる」=睡眠不足では、オキシトシンの作用も働きません。栄養不足でも同じです。あなたは、寝ていますか?食べていますか?

「お産を振り返る」=お産への心残りを抱えていると、思いっきり赤ちゃんのことを感じられなくなってしまいます。感情に蓋をしがちなお産の記憶。どうか大事に大事に癒してください。

5)「赤ちゃん可愛い」と感じられるための簡単3Stepの道のり

この「さわる・みつめる」、「ねる・たべる」、「お産をふりかえる」の3つのステップは、筆者が4人の子を育てながら、そして科学ジャーナリストとして様々な論文などを検証しながら考えた「赤ちゃんをかわいく思えるようにするための」ステップです。

「さわる・みつめる」生活を1日5分のみ、意識しただけで、わたしはわずか1か月で子どもとの関係が変わりました。

これまで実践した方々から、多くのご感想をいただています。

「触りたくなかった赤ちゃん⇒可愛くなってきました…!」
「中学の息子と最悪の関係でした。怒るばかりで会話もなし⇒関係が激変!会話ができるようになり、ゲーム三昧だったのに宿題もできるようになってびっくり」

子どもは、赤ちゃんは、あなたとのふれあいを求めています。わずか1日5分でも、あなたから子どもへのアプローチが変わるだけで、子どもとの関係は激変します。そして子どもが変わると、またあなたもより幸せに変わるでしょう。

6)「赤ちゃん 可愛くない」はまだ母として成熟するプロセスの途上にいるだけ。「可愛い」と思える日は必ず来る

「赤ちゃんが可愛いと思えない」のは、まだ、あなたが母親としてのプロセスの途上にあるから。ここが終点ではないのです。まだまだ始発駅の隣の液ぐらいにあなたはいます。
すべての母親が、常に愛を深めるプロセスの途上にあります。

から、生まれてすぐに可愛いと思えなくても大丈夫。

しだいに3Stepを重ねて、心も体も落ち着かせ、「可愛い」という感情が少しずつ自然に芽生えてくるのを待ちましょう。

わたしは最初の育児の3~4年間、本当に緊張しっぱなしで、育児を楽しむ余裕がありませんでした。が、今ではよそ様の赤ちゃんも、可愛くてたまらなくってお世話をせずにはいられないくらいの子煩悩な母親に変身してしまいました。

過去5年、3Stepを大事にしながら日々生きているからです。

3Stepを実現することは、お金もかかりません。
あなた自身のほんの1日10秒、1日5分の気づきで構わないのです。

心が動かなくてもいい、ただ、赤ちゃんの皮膚を「1回5分」触って、そのぷにぷにを味わってみましょう。1回でもいいから、赤ちゃんと寝落ちしてみましょう。次の日、イライラが収まっているはずです。睡眠不足解消の効果で、赤ちゃんへの気持ちも不思議と変化します。

7)まとめ

「赤ちゃんが可愛くない」のは、母親としての単なるスタートライン。まだまだプロセスの途中です。科学的なメカニズムとして、当然のプロセスですから、自分自身を責める必要は全くないのです。
自分を楽にしながら、赤ちゃんとの関係をつくり、愛情ホルモン「オキシトシン」を分泌させていくことで、あなたの感情は次第に変化するでしょう。

この3Stepをどう実現するか?

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