Nスぺ「妻が夫にキレる本当のワケ」
「どうして夫はわかってくれないの?」
「どうして妻はいきなりキレるんだ?」
夫婦ってそれぞれ事情は違いますが、コミュニケーションの取り方で同じような行き違いがありますよね。
そのことを科学的に分析し、解決策も盛り込むというNHKスペシャル「ニッポンの家族が非常事態!? 第2集 妻が夫にキレる本当のワケ」(2017年6月11日午後9時放送)をリアルタイムで感想書いてみます。
facebookリアルタイム感想シェア会は、こちらでやってます(21時45分~23時)
妻が夫にキレる、夫が妻におびえる現状
現在、日本は1年間で21万組以上が離婚、
離婚調停の申し立ては7割が妻からだというデータが出てきました。
妻の申し立ての最大の理由は「夫が自分の気持ちを理解しないこと」。
いっぽうで夫からの離婚申し立て理由で急上昇中なのが「妻からの精神的虐待」だそうです。
この「急上昇中」っていうのが驚きですね。確かに、圏外から上位に急浮上ってすごい。
取材を受けた女性、なつみさんとけいすけさん夫婦のビデオが流れます。
なつみさんは、夫にキレるけれど、理由が分からないと言います。
なつみさんは日中仕事で夕方4時半帰宅、1時間半かけて自宅近くの保育所へ子どもをお迎えという忙しい日々。
「仕事も育児も、どちらも中途半端ではないか」といつも悩んでいる一方で、「夫が自分の悩みに向き合おうとしない」と悩んでいる様子。転職のことを相談しても、夫は理解しないと怒り気味です。
夫の言い分はこう。
「転職せず、現状のまま頑張ろうと確認してきた。すでに結論が出ている話。なぜ蒸し返すのかよく分からない」
なつみさんは「わたしの悩みへの共感がゼロ」と憤っています。
NHKによる、1000人の既婚女性への調査で、85%が夫にストレスを感じているという結果。
「夫が自分の気持ちを理解していない」点がストレスだと答えた人が多いようです。
そうそう。妻にとっては「夫がわかってくれない」が一番、つらいことなんですよね。ほんとに。
逆にいえば、「夫が分かってくれる」ってだけで、夫婦の課題の多くは解決するんじゃないかな、とも思います。
妻の言い分といえば妻の言い分かもしれません。夫の方は夫の方で、「分かりたいけど、理解できない」状態なのかもしれないですね。ただ、今、これだけの離婚原因になっているということは、もう一種の社会問題ですね。男女のコミュニケーションのすれ違いは。
典型的「すれ違い夫婦」=脳の仕組みの違い?
MRIで男女の脳を撮影してきた米・MIT、2013年、脳内の情報伝達の仕組みの男女差を初めて明らかにしました。
左右に分かれる私たちの脳は、下記のように役割分担しています。
・右脳=感覚的認識能力
・左脳=論理的認識能力
このMRIの画像を分析していくと、
男性の脳は、右脳・左脳の横の神経伝達の連結がほとんどない=共感が苦手。
女性の脳は、右脳・左脳の横方向に連結が見られる=共感が得意
ということが分かってきました。
「女性は、感情の理由や意味を探ろうとする」
「男性は、感情は感情に過ぎない。それについて話す理由が分からない」
と、番組はけっこう単純に言いきります。
話の流れは理解できるけど、単純に二分化しすぎていないか、ちょっと危険なにおいがしますね。このあたり。。。。「ニッポンの家族が非常事態」シリーズでいつも気になるところです。
進化の過程で男女の脳は機能が分化?
「男性=コミュニティを出て狩りに出て、良質のたんぱく質を獲ってくる。
女性=木の実を採る、コミュニティの中で子育てをする」
このために、男女の脳は機能が分かれてきたとスタジオで研究者は語ります。
(もちろん、育ち方、経験・学習によって個人差がある)。
最近、キレる妻が急増しているのは、暮らし方の変化で妻へのストレスが急増しているからと、原因をバッサリ。
2人で働かないと生活が難しい。共働きが大きな理由だというのです。
共働きで、妻のストレス増加(仕事のストレス、育児のストレス、夫の共感不足…)しているため…だと番組。
共働き家庭でなくても、同じようなこと発生してると思いますよ。ここも、違和感ありますけど…。
熟年夫婦、過去のつらい出来事を忘れない妻
「夫が過去につらかったことはすごく覚えている妻」
米国・ケイヒル博士の研究
女性:左側(論理的認識)を使う➡つらい出来事をよく覚えている
男性:右側(感覚的認識)を遣う➡つらい出来事を感覚的に曖昧にしか覚えていない
昔の生活の中で、男女の脳で有利に働く部分が分化してきた。
「女性ネガティブなことを詳細に記憶しているのは、自分や子どもを守るため」
「細かいことを気にしないのは、狩りに集中するため」
最新科学による解決策
でた!オキシトシン!やっぱり!(笑)
脳内で分泌されることで人に愛情を感じる、愛情ホルモン「オキシトシン」。
脳の報酬系に作用して、「この人とずっと一緒にいたい」と思わせます。
もとは母と子の絆を深める役割。しかし、進化の過程で、夫婦の絆を強めるためのホルモンであることが分かってきました。
進化の源流を受け継ぐ生活をしている西アフリカのトーゴのある部族。
4人の妻を持つミシェルさん「愛があるからこそ、彼女たちを妻にした」
人類はもともと一夫多妻が主流だったが、数千年前、一夫一妻が主流になったといいます。
そのころ、性感染症が大流行し、一夫多妻がリスクとなったためだと言われているようです。
ところが、太古からの「一夫多妻を促す仕組み」が今も、私たちの体には残っています。
それが、「多くの女性を獲得したい」という欲求を促す男性ホルモン「テストステロン」。
いっぽうで、「オキシトシンが一人のパートナーを持つよう動機付けられているのです」(ザック博士)。
両方のバランスが大事なのですが…
夫婦関係円滑にはオキシトシン分泌↑テストステロン抑制↓が重要
そうそうそう。これ、私も講座でお話しているところなんです。NHKがどう紹介するかとても気になっていたところ。
現代の男女は、ホルモンのバランスが逆転???
現代生活で、夫婦間でテストステロンの逆転現象???
一般的に男性である夫の方が高いテストステロン値ですが、女性である妻の方が多い夫婦が増えているそうです。
「女性のオキシトシン分泌量が減ると、夫婦関係に悪影響が出ると言われている」。
↑単純化し過ぎではないでしょうか。なんだか、女性が男性化してて、それが諸悪の根源だみたいな取り方もできちゃう、危険なにおいがするセリフだわ…。
女性のテストステロン増加は、女性の特性である共感力を低下させてしまいます。
渡部医師(精神科)「(女性の中でも)社会のコミュニティの中でリーダーになっていく人たちは、テストステロン値が高い傾向にある」
「男性でもテストステロン上昇しすぎると、共感力が減り、家庭を顧みなくなる。
でも下がりすぎることも問題で、下がりすぎると意欲が低下、うつ的症状、夜の営みも数が減るといった弊害も出ます」
オキシトシン分泌を増やして夫婦仲改善を!
オキシトシン研究のポール・ザック博士(クレアモント大学)が、冒頭のなつみさん・けいすけさん夫婦に直接、レクチャー!
手をつなぐだけで夫婦のオキシトシン推計値が、妻2倍、夫1.5倍に上昇!!!
ポイントは、「相手が自分に向き合っていることを実感していること」
➡みつめあい、スキンシップをとることが大事。
「ある目標に向かって、協力して作業すること」も分泌を促す。
もう一組、熟年のご夫婦にも直接レクチャー。
ザック博士、きれいなレストランで食事。夫から妻へのサプライズの手紙と花束をアドバイス。
夫、プレゼントを持って部屋に入るとき、手紙朗読中にオキシトシン急上昇。
ザック博士「これまでの気持ちを、表現することが大事なんです」
「日常の生活をハッピーにするには自分自身の努力が大事と言うことが分かった」
妻、手紙をもらった時にオキシトシン分泌あがらなかったのは、驚きが勝ったためと分析するザック博士。
そうそうそう。「手をつなぐ、見つめ合う」はクライシス解決の一番、大事な方法なんですよね。
でもね、夫婦だけでは、このきっかけをつかむのが非常に難しいんです。離れた夫婦が再び触れ合う…この難しさと切なさ、番組は理解してるのかな???
すぐできる解決策???
夫一婦制はつい最近。
その過程でお互いの愛情を育てる仕組みを獲得してきた人類。
でも、それは放っておいては機能しない。努力しないと機能しない仕組み。
「向き合って、手を握り合って、お料理する」
「すぐできますね!」(恵さん)
いや、それがね、すぐできないんですよ!!!!!!
ちょっと離れてしまった夫婦が再び触れ合うのに、どれほど勇気がいることか。
「今の世の中は女性の負担が増えていることを男性が認識することが大事」
「男と女は違うので同じことを求められても、困ると言うことですね」とコメントする中村教授。
「オキシトシン売ってないの?」「買いたいね」と司会の恵さん。
「医薬品なので、国内では病気の方以外は使えないんですよ」とコメントする菊水教授。
いや仮に人工オキシトシン購入して吸っても、恒常的になると自分の体内で分泌されなくなるので、やめた方がいいです。オキシトシンは自分の体で分泌量を増やしていくことが大事です。そこは、間違った方向に誘導しないでください、NHKさん。
そんな感じで終了!
でも、わたしの活動とも大きくかぶる、興味深い番組でした。。。。
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◆シンプル育児研究所の産後クライシスの記事についてはこちら
↓この番組への違和感をまとめてみました。その①
◆NHKスペシャル「ニッポンの家族が非常事態!? 第1集 わが子がキレる本当のワケ」
(2017年6月10日21時~)のまとめについてはこちら↓
◆子どもとあなたが劇的に変わる愛情ホルモン「オキシトシン」の話はこちら