お産の記憶。

お産の記憶、あなたは心のどんなところにしまってあるか、改めて考えたり、感じたりしたことはあるでしょうか。

「お産は病気ではありません」と良く言われます。「だからたいしたことない」とか「誰でも通る道」とか思っていませんか。

お産は、確かに女性の人生のイベントの一つ、といえばそうでしょう。

でも、普通のイベントの記憶とは、心の中に占める場所が全然、違うんです!

同じ人生のイベントでも、結婚式とか卒業式とか就職とか、そういった記憶よりも、もっと深い深いところで、母たちの人生に影響していると、なかむらは考えています。

「辛かった」

「気持ち良かった」

「とにかく痛かった」

「幸せだった」

「しんどかった」

誕生した命も、誕生死した命のお産も、自然分娩にも帝王切開にも、様々な形があります。そして、一人ひとりにとって、とてもデリケートで、複雑な感情を伴う体験です。それが一般的に思われている「幸福で安全なお産」であったとしても、です。

最近、バースプランを書く産院が増えています。ところが産後にお産を振り返る「バースレビュー」をしているところはほとんどありません。プランとレビューは本来、セットで行ってこそ、効果を発揮します。また、産後すぐにバースレビューをすることは、母子の愛着関係(母子が互いを愛おしいと思える関係)を大いに深めることが、国内外の多くの研究で分かっています。それくらい、「お産の記憶」は、子育てへ向かう母自身の姿勢に大きな影響を与えているのです。

「わたしのお産、たいしたことなかったわ」と考えていた人、いませんか。できるだけ思い出さないようにしている人、いませんか。

でもね、「たいしたことないお産」なんて、世界中探しても、どこにもないんです。「思い出す必要のないお産」なんてどこにもないんです。あなたが、とにかく頑張った。頑張って命をうみだした。その間に感じた感情は、あたたかい感情も、ダークな感情も、痛々しい感情も、すべてが、この世界の宝物なのです。

だから、どんなお産の記憶も、大事にしてあげてください。お産の時に感じた、すべての感情を、大事にしてあげてください。そして、あなた自身も、家族や友人・知人のお産の記憶を、大事にしてあげてください。

このエッセイを読んで、ちょっとでも心に響いたあなた。もしよかったら、「お産の記憶を大事にする」ことを行動に移してみませんか。

まず、紙を用意してください。そこに「わたしのお産」と書き、思い出すまま、つらつらとお産の時に感じたことを、取捨選択なしに書き綴っていってください。書いている途中で赤ちゃんが泣いても大丈夫。また落ち着いたら、心行くまで書き続けてくださいね。書き終わったら、お気に入りの封筒に入れます。封をしてもしなくても構いません。その時の自分の気持ち次第です。

その封筒を、誰か信頼できる相手に、さすってもらってください。「頑張ったね」「大丈夫だよ」と言ってもらいながら。中身に何が入っているかは、相手に言ってもいいし、言わなくても構いません。あなたの気持ちをあまり理解してくれない夫が相手なら、「何でもいいからとにかく『頑張ったね』って言って、この封筒をさすってくれるかな?」と頼んでみてください。

以前開催した講座の中でも、この「お産の記憶・封筒さわさわワークショップ」を行いました。

二人組でお互いに封筒をさすりあうというやり方でしたが、ずっと時間の許すまで互いに触り続けるペアが多かったのが印象的でした。

(アラフォーで記憶力・創造力低下中のなかむらが、なんとかひねり出したワークショップですが、絶賛、素敵なお名前募集中です)

講座後、ありがたいことに「なんで、封筒をさすってもらうだけで、こんなに癒されるんだろう!」という声をいただきました。

でもね、よーく感じてください。

「封筒をさすってもらうだけで癒される」くらい、お産の記憶って、すべてのお母さんにとって、存在の深いところで本当に大事なものなんです。

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